
こんにちは、絵柄寄せの技術でアプリゲームイラストの仕事をしているこぼれです
イラスト仕事の中でも比較的案件が多いのが絵柄寄せのお仕事です。
アプリゲームなど、統一した絵柄のカードイラストを短期間で大量に制作する会社では、絵柄寄せのできる人材をいつでも探しています。
この記事では、そんな絵柄寄せの基本的なやり方をご紹介します。
根気さえあれば誰でも習得できる技術ですので、興味のある方はぜひトライしてみてください!
絵柄寄せの3ステップ
絵柄寄せをする方法は以下の3ステップです。
- 資料を集める
- 比率をはかる
- 描く!
絵柄を寄せたいキャラのイラスト資料を集めて、そのキャラの比率をはかり、その比率をヒントに描いていく流れになります。

一つずつ順を追って説明していきますね。
絵柄寄せのやり方1・資料を集める

まずは絵柄寄せをしたいイラストの資料を集めます。
キャラの比率をはかる為に使うので、なるべく真正面で立っているものを選びましょう。設定資料がある作品なら3面図があるのでやりやすいです。
また、角度のついたイラストを描きたい場合は、似た角度の資料もあわせて探しておきましょう。

実際にその角度のイラストで比率を取る場合もありますし、正面では解釈が難しい部分の確認に使います。
今回は「SPY×FAMILY」のアーニャを例に使うため、アニメ公式サイトからキャラ画像を拝借しました。

絵柄寄せのやり方2・比率をはかる
資料として集めたイラストを元に、キャラの比率をはかっていきます。
描こうとしている絵柄は顔のどの位置に目がくるのかな?目の大きさはどれくらいなのかな?と、一つずつ探っていくイメージです。
ここでは実際にアーニャの比率をとっていく過程をご紹介します。

輪郭や鼻の位置など、わかりやすい部分から比率を出していきます。
今回は目の上部分からあごを基準にしてみました。半分にわってみたりしながら、顔のパーツの大体の位置を割り出していきます。
鼻~あごの半分くらいの位置が口の高さになっていたので、そこも目安として使えそうです。

同じ比率を上にも付け足すと、ちょうどてっぺんの線がつむじの高さと合いました。
前髪の交差部分も大体の位置を把握できそうです。

次は横を割って、目安になる比率がないか確認していきます。
縦の線と同じ長さの線(つむじからあごまでの長さ)を横に引き、4等分にしてみました。
黒目の外側の位置と髪のふさに線が重なったので、そのまま目安に使えそうです。

描いたマスを基準に2等分や3等分にしたりして、各パーツの位置目安を細かく確認していきます。
あまりやりすぎると描くときにわかりにくくなるので、細かい部分は描きながら都度比率を確認する方法でもOKです。

例では顔だけですが、全身を描きたいときは頭身の比率もとります
好きな範囲を指定して、そこから2等分、3等分……と作画の際の目安を見つけていく感じです。なるべく単純な分割で、自分が描くときにわかりやすい目安を探すといいですよ。
絵柄寄せのやり方3・描く!
大まかな比率をはかれたら、早速その比率を使ってイラストを描いていきましょう!
まずは基本の「描き写し」
比率を使って描くことを覚えるため、まずは元のイラストをそのまま描き写してみます。

好きな大きさで縦線を引いて、比率に合わせて目印をつけていきます。

大まかなガイドが描けたので、目安を元に描ける所から描いていきます。


何回描き直しても大丈夫なので、とにかく描いてみましょう!

細かいパーツの比率もとり、さらに描きこんでいきます。

ガイドを消して、線画を整えます。

色をつけたら完成です!

もう一歩クオリティをあげる場合は、ここから更に元絵と見比べて調整していきます。
自分のラフから描いていく方法
基礎では絵を描き写すような描き方でしたが、お仕事の際は角度や構図など、0から新しく描くことになります。
そのため、ここでは自分の絵柄で描いたラフから絵柄を寄せていく方法をご紹介します。

今回はわかりやすいようにただの正面顔にしています。別の角度の場合は、その角度に近いイラストも参考にしながら描きましょう。

まずは自分の手癖でラフを描いていきます。

描いたラフを元に、絵柄寄せをしたいイラストの比率を落とし込んでいきます。
つむじからあごまでの線を取り、基礎でやった方法と同じようにガイドを描いていきましょう。

ガイドが描けたら、それを元にどんどん描きこんでいきます。

ガイドを消去したら完成です。
絵柄寄せの作業はどんな角度・表情の場合でも、自分で描いたラフに比率を落とし込み、それをヒントに描く・調整するの繰り返しになります。
絵柄寄せの技術を身につけたい!という人は、ぜひ一番スタンダードな正面顔からトライしてみてくださいね。
絵柄寄せも、やっぱり基礎が大事
絵柄寄せは元となるイラストの比率さえわかっていれば、基本どんな角度でも描くことができます。
資料も見て、比率もちゃんとやっているのに上手くいかない!という人は、絵柄寄せをする前に素の状態でいろんな角度の顔を描けているか確認してみてください。
「よくわからないけどそれっぽく見えるからいいか!」と、どこか曖昧に描いてしまっている部分はありませんか?
絵柄寄せは比率を頼りに描いていく手法です。ひとつ大きな歪みが生じると、そこを中心にどんどん比率が崩れてしまい、最終的に全くの別物となってしまいます。

私もよくやります……
簡単そうに見える絵柄寄せも、やっぱり基礎が大事になってきます。描きたい顔の角度のお手本を見ながら、ぜひ何度もチャレンジしてみてください!

まとめ

この記事では、イラストの仕事で使える絵柄寄せのやり方をご紹介しました。
絵柄寄せができると、アプリゲームイラストなどを描く機会が増え、イラスト仕事の幅が広がります。
根気よくやれば誰でも身につけられる技術ですので、興味のあるかたはぜひ挑戦してみてください!